1960〜70年代の若者は、今と違って闘っていた。
高校生までもがそうだったなんて、想像もつかないけど。
本来なら、今年派遣切りにあった人、就職が見つからない大学生、
リストラされた人、年金もらいそこなった人、
みんなみんな、デモやったっておかしくないのだ。
「社会が悪いんだー!」って、アピールするの。
でも、ほとんどの人が何もしない。
そんなことしても何にも変わらないって最初からあきらめてる。
社会のために何かやってる人って何人いるだろう?
アタシ自身も、申し訳ないけど何にもしていない。
政治のことはよく理解できてないし、奉仕活動もしていない。
人のために何かするって余裕はあんましないから。
せいぜい、知ってる人たちの小さなお役に立つくらいのもの。
自分の目の届く範囲で精一杯だよ。
しかし、「あの頃」の若者は違った。
本気で社会を変えようと思い、そうできると信じていた。
彼らは当初の志だけは高かったのだ。
だからって何で学生運動が暴力とつながっていくのか、
常々疑問に思っていた。
学生運動もソフト路線から過激派までいろいろあったみたい。
「昔はオレも学生運動やってたんだ。ブタ箱にも2、3日入ったよ。」
って言うと、ちょっとカッコイイおじさまって印象だよ。
そう、ちょっぴりデモった程度ならね。
もちろん、学生運動と赤軍とは全くの別物だ。
赤軍って犯罪者の集団だとしか思えない。
この映画を見て、ちょっぴりわかったよ。
暴力はアピールのための手段なのだ。
言葉だけでアピールしても効果がなかったんだね。
だからマインホフはジャーナリストから赤軍になった。
ふーん、そーなのかと社会科の授業のように観ていたけど、
後半はちょっと失速。
刑務所のシーンなんて、全然面白くなかった。
正義のための暴力なんて賛成できない。
でも、今も世界各地で起こっている紛争や戦争も同じこと。
じゃあ、どうすればいいのと聞かれると困ってしまう。
ペンは剣より強いと思いたいけれど、弱いのかな…。
マインホフ役のマルティナ・ゲデックが闘争の親分の貫録十分。
ただ、若者じゃないよね、この人。
この時代のうねりみたいなものは感じられた。
出演者たちもそれぞれ納得できる演技で見応えあった。
よい映画を作ろうという気持ちも伝わって来た。
だけど、少しばかり長かったなあ…。
【あらすじ】
(象のロケット『バーダー・マインホフ 理想の果てに』より引用)
左翼系女性ジャーナリストのマインホフは、ベトナム戦争への抗議目的でデパートに放火したバーダーとエンスリンのカップルと知り合う。 メディアから“バーダー・マインホフ”グループと呼ばれていた彼らは、1969年、正式にドイツ赤軍(RAF)を立ち上げ、帝国主義への武装闘争を表明した…。 西ベルリンに実在した若者たちの闘争史。≪世界は変えられると信じていた―。≫